現場に行ったら通路の真ん中に犬が寝転がってて怖くて通れないでいると後ろからアツシくんに声をかけられる。
「どうしたんですか?」 「アツシくん、あそこにケロベロスがいて通れないんだよ。先に通ってくれ」 「普通の犬に見えますけど?」 「世の中にあんなでかい犬がいてたまるかよ。ケロベロスしかありえない」 「トガシさんの企画じゃないの? 犬使うの知らなかったんですか?」 「あんなでかい犬を連れてくるとは・・・」 「なんでそんなに犬怖いんですか?」 「オレの前世はねその昔、野犬に喰われそうになったウサギ」 「前世サメじゃなかったの!?」 「最後まで聞け。そのウサギが島に逃げようとしてサメを騙してサメの背中を利用して島に渡って、それにキレてウサギの皮を剥いだサメ」 「えええ!? 関係なくね犬!?」 「いいから先に行けよオラ!! オマエが首に噛みつかれて首から滴る血をペロペロされてる間にオレが通るから早く行けオラ!!」 「なんてこと言うの!? ちょっと怖くなってきたから!! ちょっと押さないでよ!!」 とか犬の前でギャーギャーやってたんだけど、犬ぜんぜん起きねーの。 「この犬生きてるんですかね?」 「ちょっと鼻先にグー出してみて」 「イヤですよ!!」 「いいから。オマエみたいなもんは手首から先喰われてしまえばいいんだ!! それでハサミが持てなくなるからシザーハンズみたいになってしまえばいいんだオマエみたいなもんは!!」 「なんてこと言うの!? やめて!! 押さないで!!」 とか目の前でやったんだけどぜんぜん起きねーの。 「この犬、俺達のこと舐めてんじゃないすか?」 「これだから三流は困るよ。彼がなぜ起きないかわかんないのか?」 「なんすか急に・・・」 「彼はプロなんだよ。本番に向けて精神統一してるんだよ。シッポをペタペタしてるでしょ?これはリズムを刻んでるんだよ。本番に向けてな!!」 そして本番が始まる。 彼はボクが思った通りプロらしい働きをしてみせる。 風の如く走りまわる。 そして最後に立ち止まり吠える。 「バウッ」 ・・・・・・・。 「いや『バウ』って!? 声も小さいし!! そこは『ワンッ』だろ!!」 と思わずツッコんでしまう。 そしてタナベ監督がカットをかける。 そしてボクに 「オマエ声入ってんだろがボケ!!」 ボクもたいがいプロを意識しないとイケない・・・。 33歳。犬に気付かされる。
by WASH2011
| 2015-12-10 23:15
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