Around forty『AVE MARINAという女』編
36歳になった彼女は窓の外を見ながらシャンパンを口にしてしみじみ言う。
「アタシ誕生日いつも雨・・・」

お酒が効いてきた彼女は少々引きつった面持ちで元彼と食事をした話をしてきた。
元彼は10年前に付き合っていた同業の男。
先月イベントで別れた時ぶりに出会った元彼に彼女は少し心が躍ったらしい。
10年前はまだ青臭く、クラブや安い居酒屋で友達と飲むことが最優先でそれが原因で揉めることが多かったが、久しぶりに会った元彼は落ち着いた大人の男という佇まいになっていた。
お互い付き合ってる人がいないということでLINEを交換して別れた。
そして先日、元彼から食事の誘いがあり、待ち合わせのレストランに向かった。
向かってる道中、彼女は10年前はご飯といえばガチャガチャしたうるさい居酒屋で唐揚げというのが定番だったので静かなレストランを予約してくれたのが嬉しくてニヤニヤしながら歩いていたそうだ。
レストランに着くとそこには元彼の他に元彼の同僚が同席していた。
元彼は久しぶりに彼女と会ったことを同僚に話すと同僚が彼女に逢わせてくれと懇願されセッティングしたと。
同僚のことも彼女は10年前から顔見知りで、元彼には当時から『好みだ』と言っていたそう。
とりあえず食事しながら昔話に花を咲かせた。
楽しい時間を過ごせたそうだ。
でも彼女は帰り道のなかで切なくなった。
久しぶりに再会した元彼は付き合っていたころのいいところはそのままで、さらに魅力的になっていた。
大人の魅力を携えた元彼は同じ歳でも自分より大人に見えた。

「彼は全然悪くないんだよね。アタシだけが勝手に盛り上がって勝手にデートだと思っちゃったんだもん。彼はサプライズのつもりで友達連れてきたんだろうし。でも他の男を紹介したってことはアタシには少しも好意がないってことでしょ? 何もなくて告白もしてないのにフラれた気分だよ・・・。」

彼女はいつの間にか注文したたっかいワインを口にし、微笑みながらこう言った。

「元彼に会ったときは粗探ししなきゃね。当時より髪が薄くなったとか肌に艶がないとかウフフ。そうでもしなきゃ思い出がプラスになるせいで魅力的に見えちゃうよウフフ。どう思う?」

ボクはこう言いました。

「36歳のする話じゃない」

36にもなって乙女のような話をダラダラダラダラと何を聞かされてんのボクは?
そもそもなんで同じ業界同士で付き合うんだ?
違う業界の人と付き合う方がお互い刺激になって絶対いいのに。
『同じ業界同士でしか理解できないこともある』なんて傷の舐め合いなんか何にもならないのに。

まぁでも前に体もしっかり歳を取るよね?って言って歳を取ってるのはボクだけかと思ってたけど、周りもしっかり歳を取ってるみたいで安心した。
彼女の笑ったときの目尻のシワが気になった。

今日はAVE MARIAあたりで。
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by WASH2011 | 2017-06-02 00:24
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