Around forty『言葉にできない女』編
36歳になった彼女は乾杯した後、いつものようにメモに書き始めた。
『私のこと避けてない?』
ドキっ・・・。
ボクは冷静を装い彼女のメモに書き込む。
『さけてないけど』
彼女が書き込む。
『耳は聞こえるんだけど』
「あっ・・・すまん・・・」
ソムリエがワインを運んでくる。
「お誕生日おめでとうございます。こちら私どもからのサービスでございます」
彼女がメモに
『ありがとう』
と書き込み、今や誰もやってないローラのマネ。
質問が気まずかったのでソムリエに感謝。
話題を変える。
「なんで書くの? スマホでよくないか?」
『書いた方が心がこもって伝わるでしょ』
「そうか?」
『キーボードばっかり打ってないでたまには書いたら? 字が汚くても心込めて書いたら伝わるよ。ただでさえ冷酷無残なんて言われてるんだから』
「言われたことねーよ・・・」
食事も進むとまた話が戻る。
『話し戻すけど私のこと避けてるでしょ?』
「さけてないって・・・」
『さっきドキって顔してたよ』
「・・・・・・」
彼女は人の感情を読み取るのが並みはずれている。
彼女を見てると人は何かを失うと何かが変わりに秀でるのかと思わせる。
『ふたりで食事するの初めてだね。ほんとは毎年連れてってもらいたかったけど避けてるのかなって』
「さけてないって・・・」
避けてるというより何だか気を使ってしまう。
ふつうに接すればいいのに対峙するとなぜか緊張してしまう。
だから彼女には避けられていると思われているのかもしれない。
『おいしい♡ こんなとこ連れて来てもらえるなら去年もお願いしたらよかった』
「来年もどうぞ」
『前に私のこと障害者だと思ってない(怒)って役人の人達に怒ってくれたでしょ? すごくうれしかったよ。でも一緒に仕事してわかったけど社長が一番私のことそういう目で見てるんじゃないかな?って』
またドキっとすることを・・・。
『またドキっとした』
「・・・・・・」
たしかに言うとおりかもしれない。
ハンデを背負ってる人が頑張ってると『頑張ってるな』と思ってしまう自分がいる。
本人達は頑張ってる訳じゃなくて普通なのに。
前にマイガイから叱られたこともあった。
初期の頃、みんなで食事した後にカラオケに行くと、歌えないのに彼女がみんなと楽しそうにしてるのを見るのは辛かった。
彼女がいるのにみんなが楽しんでいる無神経さに腹が立った。
そういうの伝わっちゃってたんだな・・・。
『だからみんなと同じように扱って』
「扱う・・・」
『賞味期限きれるぞって言って』
「・・・・・・」
『デブとか言って』
「・・・・・・」
『アバズレとか言って』
「・・・・・・」
『今日のこともブログにして。タイトルは声を失った女で。ね』
ボクは彼女のメモに書き込みました。
『言葉にできない』
今日は言葉にできないあたりで。


by WASH2011 | 2017-06-17 00:12
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